北京雑感ー17 北京オリンピック    

車で走っていて、オリンピックまでの日数をカウントダウンするボードを目にしました。日数は383日、もう400日を切っていました。どうりで、最近のテレビ・ラジオには“奥运会”が氾濫しています。

街中で、高いビルや道路の建設が急ピッチで進んでいます。地下鉄の駅が予定されている所は、さすがに地上部分の工事が終わり、道路はかなりすっきりしてきましたが、地下では工事が続いていることでしょう。

今、私が興味を持っているのは、前門の改修工事です。去年の秋から、前門は部分的に大きな改修工事があって、随分様子が変わりましたが、今年7月に来てみると、何と、前門大街が高いフェンスで閉鎖されているのです。地下鉄前門駅の西側階段を昇ると、目の前に大きな通りが出来て、南のほうへ走っています。そこから東の方へ、今まで小さなお店がひしめいていたあたりは、すっかり整備されて、前門大街の工事フェンスまで、緑地帯が出来上がっています。大街を越えて東へ行くと、暫くは工事フェンスが続き、北京旧駅の手前にも新しい、南からの広い道が出来て、前門東路と名前が出ていました。そしてその角にも、広い緑地が出来ています。

大街の西側の工事フェンスに、「←大柵欄」と赤ペンキの殴り書きを見つけて入っていくと、やっと見覚えのある、大街に平行した細い路地に出ました。その道を歩いて大柵欄まで行くと、東は通行止め。大街に通じていた道がフェンスで囲われ、そこから覗くと大街の商店は皆取り壊されています。全聚徳や都一処など、お馴染みの店が影も形もありません。慌てて振り向くと、西方向には、同仁堂、張一元、天福銘茶など見慣れた店がそのまま残っていて、やっと、ほっとしすます。

大柵欄を西に暫く歩くと、今まで無かった大きな道に出ました。その道を隔てて、細い路地があり、どうやら、それが琉璃廠へ続く道のようです。大きな道を北に歩くと、地下鉄前門駅西側階段へ出て、この通りが、昇ってきて初めて目にした大通りだと分かりました。ここは、前門西路と書いてありました。

前門大街のフェンスには、綺麗な写真のような完成予想図が描いてあるのですが、どうなるのか、私には想像出来ませんでした。しかしここまで歩いてきて、私なりの勝手な予想図を創ることが出来ました。前門大街は車の通行を禁止して、王府井のように歩行者天国にし、大柵欄の東は、大街を越えて、前門東路まで抜ける道を作るようです。

予想が当たるかどうかは別にして、私は、この工事がオリンピックに間に合うのか、心配しています。前門大街はまだ瓦礫の山です。これから瓦礫を片付けて、2,3階建てで揃えるとしても、建物を立て、商店・食堂が入って、営業の準備が出来るのでしょうか。ま、中国の人達は、間に合わせるのが得意なようですけれど、余りいい加減な工事はして欲しくないと、北京の好きな老婆心は思っています。

聞くところによると、世界的ブランドメーカーも含めて、大街に店を出すための入札が行われたということです。前門にブランドショップなんて、浅草にティファニーのお店が出来るようなもので、似合わないと思うのは、私の偏見でしょうか?いずれにしても、今までとは違う前門大街が出現します。前門も、王府井と同じ運命をたどるとしたらちょっと残念ですが、仕方ありませんね。昔の前門の雰囲気は無くなるかも知れませんが、前門は前門ですから、我慢しましょうか。

それにしても、去年から今年にかけての前門は、前門ではありません。観光案内等で、北京の代表的な買い物スポットとして紹介されて、楽しみに訪れた観光客も多いと思いますが、昨今の前門を見てガッカリしたことでしょう。他人事ながら、「時期が悪かった」で済ませるのは申し訳ないような気がします。

街中のビルなどは、たとえオリンピックに間に合わなくても、余り被害はありませんが、北京の代表的観光地前門が未完成だったら、商店の損害は勿論、観光客も随分ガッカリするでしょう。でも、北京市はちゃんと間に合わせるのでしょう。「余計なお世話だ」と言われそうです。

オリンピックと言えば、もう一つ、密かな心配があります。それはお天気です。北京の人達は、、オリンピックを9月にやれば良いのにと思っています。北京の9月と言えば、皆様ご存知の“秋天爽高”ですから、東京オリンピックと同じように、快晴の開会式が期待できたのですが、実際の開幕は8月8日です。聞くところによると、北京市は9月の開催を希望したのですが、IOCが、世界のプロスポーツのシーズンを勘案して、8月の開催を強硬に主張したそうです。

因みに、今年の北京の天気を見ると、7月25日に晴れた後、8月7日までずっと曇りまたは雨が続いています。合間に陽が射すことはあっても、一日すっきり晴れると言うことはありませんでした。若し、来年もこんなお天気だったら、ちょっと気分がそがれるでしょうね。
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